SNSアクティベーション 事例 — 「その 日・ その 会期」でなければ 成立しない 3つの 設計
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3つの施策に共通するのは、場所と日付を切り離せない形で結び、「その日に、そこに居た」こと自体を語る材料にしたことです。日付の根拠は、ブランドが決めた章立て、暦の上の記念日、映画祭の会期と、それぞれ違います。SNSアクティベーションとは、体験がSNSで語られるところまでを含めて設計するアクティベーションのことで、「いつやるか」は会場の設計と同じ重さを持ちます。
| 地域 | 業種 | 何をしたか | 日付の根拠 | SNSで語られた仕掛け | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本(京都) | ハイジュエリー | 重要文化財の建物で新章を発表し、一夜限りのディナーを開催 | ブランドが決めた章立て(第1章は5月に南仏) | 「京都で第2章」という物語の続き | FASHIONSNAP |
| 日本(新大阪〜東京) | 医薬品 | 新幹線2両を緑で飾り、親子で目を休める体験 | 10月10日の「目の愛護デー」 | 緑一色の車両という一枚絵と、毎年続く企画 | AdverTimes |
| 日本(奈良) | ファッション | 国際映画祭のパートナーとして、世界遺産でレッドカーペットとディナー | 映画祭の会期(9月の連休) | 「会期中にしか無い場面」を映画・食と重ねた | FASHIONSNAP |
事例1: ハイジュエリーの 「第2章」を、 京都の 一夜に 置いた
カルティエは、ハイジュエリーコレクションの第2章を10月13日に京都で発表しました。第1章は5月に南仏で発表されており、章立てが先にあります。会場は京都国立博物館の明治古都館で、重要文化財の建物の中にネックレスやイヤリング、ジュエリーウォッチが並び、日本で初めて公開される作品も含まれました。同じ日の夜には敷地内の別の建物で一夜限りのディナーが開かれ、ジュエリーを身につけたモデルのプレゼンテーションと、歌舞伎俳優による舞踊が披露されました。招かれたのは国内外の俳優やアーティストで、発表会の後日には顧客向けの商談会が続きます。
日付の根拠は、ブランド自身が決めた章立てです。「第1章は南仏、第2章は京都」という順序があるため、この日の京都は単発のイベントではなく物語の続きとして語られます。重要文化財という場所と、一夜限りという時間の両方が固定されているので、投稿は「10月13日の京都」という座標を含みます。後日の商談会に向けた前段として、発表の夜を語られる場にした設計です。
事例2: 記念日に 合わせて、 新幹線を 緑一色にした
ロート製薬は、10月10日の「目の愛護デー」に、新幹線の車両2両を貸し切り、新大阪駅から東京駅までを走る企画を実施しました。車内の天井には緑の風船が浮き、ヘッドレストカバーには野菜や果物の絵柄、参加者が着る法被とアイマスクも緑で統一されました。参加したのは、ブランドのコミュニティサイトで応募した親子18組で、車窓の景色をテーマにしたクイズ、協力企業と共同で企画したドリンク、目に良いとされる食材の弁当、アイマスクで目を休める時間が用意されました。同社は2020年からこの記念日に合わせた企画を続けています。
日付の根拠は、暦の上の記念日です。記念日は毎年同じ日に来るので、企画は1回で終わらず、年ごとの続きものとして語られます。移動時間を「目のことを考える時間」に変える、という狙いが、緑一色の車両という一枚の絵に落ちているため、乗っていない人にも投稿で伝わります。記事にはSNSに関する記述はありませんが、記念日・貸切・統一された色という3つの条件が、語られる材料をそろえています。
事例3: 映画祭の 会期に、 世界遺産の 場面を 重ねた
ジョルジオ アルマーニは、9月の連休に開かれた「なら国際映画祭」にパートナーとして参画しました。初日は東大寺の大仏殿前でレッドカーペットの衣装協力を行い、翌日は春日大社で祈祷を受けた後、萬葉植物園でフォトコールを行い、通常は非公開の迎賓施設で特別なディナーが開かれました。料理は銀座にあるブランドのレストランのシェフと奈良のレストランのシェフが共作し、参加者には映画監督、俳優、ダンサー、大使などが含まれます。今年は日本とイタリアの修好160周年という節目でもありました。
日付の根拠は、映画祭の会期です。会期の外では、大仏殿前のレッドカーペットも、非公開の施設でのディナーも成立しません。ブランドは自分で日付を作らず、映画祭という既にある日程に乗り、その中に「ブランドの衣装」「ブランドの食」という場面を重ねました。映画・ファッション・食が交差する一夜という記事の整理は、ブランド単独では作れない文脈を会期から借りたことを示しています。
日本で 応用するときに 決めること
- 日付の根拠を「自分で決める章立て」「暦の記念日」「他者の会期」のどれにするか決める
- 場所と日付を切り離せない形で結び、投稿に残る座標(日付と場所)を1組に絞る
- 一夜限りにするなら、その後に続く工程(商談会・販売・翌年)を先に置いておく
- 記念日に乗るなら、1回で終えず、翌年も同じ日に続ける前提で設計する
- 他者の会期に乗るなら、その会期の文脈を壊さない範囲でブランドの場面を重ねる
この5点は、SNSアクティベーションとはで整理した「場所」と「時間」の設計に対応します。設計の考え方はサービスページにまとめています。発表会を体験に置き換えた例は発表会の事例で扱っています。
この 記事の 範囲
この記事では、公開されている報道に書かれている事実をもとに、3つの施策の「日付の設計」だけを読み解きました。各施策の成果の数字、費用、招かれた人の詳細、ブランドの公式な発言は扱っていません。施策の優劣は付けず、構造の読み解きに絞っています。
おわりに
会場を決めるときと同じ重さで、日付を決める。章立て、記念日、会期のどれを根拠にするかで、語られ方と続き方が変わります。「その日でなければ成立しない」設計は、投稿に残る座標を1組に絞るところから始まります。