SNSアクティベーション 事例 — 海外の 街に 出る ポップアップは、 現地の 何を 借りるのか
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海外の街に出るポップアップで語られる場をつくっている例に共通するのは、ブランドの世界観をそのまま運ぶのではなく、出店する土地の人がすでに知っている文脈を1つ借りて、自分たちの持ち込むものと交わる場面を会場につくっている点です。2026年10月にソウル・京都・パリで開かれる3つのポップアップは、借りた文脈も持ち込んだものもそれぞれ違いますが、「交わる場面」を会場の中心に置いていました。
| 国・地域 | 業種 | 何をしたか | SNSで語られる材料になる仕掛け | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 韓国・ソウル(聖水) | 日本のファッションEC(ZOZOTOWN)と韓国のファッションEC | 日本のブランド15が参加する韓国で初のポップアップを16日間開催 | 横断歩道の床と大型の映像で表した「交差点」、フォトブース、ロゴのカプセル | ニュース記事 |
| 日本・京都 | スイスの時計(チューダー) | 大相撲をテーマにしたポップアップを百貨店で1週間開催 | 幕内力士を撮り下ろした大型のビジュアルと時計の展示 | プレスリリース |
| フランス・パリ(マレ地区) | 韓国の美容・暮らしの輸出の場(イソル) | 韓国の中小ブランドが参加するポップアップを約2か月開催 | 肌の診断、韓国式の写真撮影、伝統酒とインスタントコーヒーの体験、カプセルの企画 | ニュース記事 |
ここで扱うSNSアクティベーションとは、体験がSNSで語られるところまでを含めて設計するアクティベーションのことです。考え方の全体はSNSアクティベーションとはで整理しています。
なぜ 海外の 出店では、 現地の 文脈を 借りるのか?
初めて出店する土地では、ブランドの名前や世界観を知らない人が来場者の多くを占めます。知らないものだけが並ぶ会場は、来場者にとって語る手がかりが少なく、写真を撮っても説明しにくい場になりがちです。現地の人がすでに知っている文脈を1つ借りると、来場者は「知っているもの」と「初めて見るもの」の組み合わせとして、自分の言葉で語れるようになります。
借りる文脈は、土地の文化、街の性格、その国の人が持っている相手国へのイメージなどさまざまです。今回の3例は、それぞれ違うものを借りていました。
ソウル 聖水の ポップアップは、 何を 「交差点」にしたのか?
日本のファッションEC「ZOZOTOWN」は、韓国のファッションECの店舗を会場に、10月16日から31日までの16日間、韓国で初めてのポップアップを開きました。報道によれば、日本の購入データなどをもとに選んだ日本のブランド15が参加しています。入口には大きな文字と黒い立方体の造形を置き、床には横断歩道の図柄、大型の映像の壁では日本のブランドを紹介して、日本と韓国のファッションの「交差点」を表現しました。赤いカーテンのフォトブースやロゴのカプセルの機械も置き、商品はQRコードからオンラインで買える形です。
聖水は、国内外のブランドの旗艦店やポップアップが集まり、若い世代や観光客が多く訪れる街だと報道は伝えています。その街に「交差点」という分かりやすい比喩を持ち込んだことで、来場者が撮った写真に、何の会場なのかを一目で伝える役割を持たせていると読めます。
京都の ポップアップは、 なぜ 大相撲を 借りたのか?
スイスの時計ブランド「チューダー」は、10月21日から27日まで、大丸京都店で大相撲をテーマにしたポップアップを開きます。発表によれば、日本相撲協会とのパートナーシップを記念した巡回の企画で、京都での開催は初めてです。会場では、パートナーシップのために撮り下ろした幕内力士のビジュアルを大型のディスプレイで見せ、最新作から定番のモデルまでを展示します。
日本の来場者にとって大相撲は説明のいらない文化です。挑戦する姿勢を掲げてきた時計ブランドと、土俵に上がる力士を同じ空間に並べることで、ブランドの考え方を知らない人にも、両者の共通点が伝わる組み立てになっています。京都という、伝統文化の印象が強い土地を選んだことも、借りた文脈を強める要素になっています。
パリの ポップアップは、 韓国から 何を 持ち 込んだのか?
韓国の大手流通グループが運営する輸出の場「イソル」は、10月10日から11月30日まで、パリのマレ地区でポップアップを開いています。報道によれば、韓国の中小企業33社の40余りのブランドが参加し、スキンケアやメイクなどを試せる美容の複合店として構成しています。肌の状態を16の型に分けて合う商品を薦める診断、韓国式の体の内側からのケアを味わう場、韓国式の写真撮影、伝統酒とインスタントコーヒーの体験、サンプルを楽しめるカプセルの企画も用意しました。
この例は、借りるのではなく、韓国で日常的に親しまれている体験をそのまま持ち込んでいます。パリの来場者がすでに持っている「韓国の美容」への関心を入口にして、日常の体験まで踏み込ませる設計だと読めます。
日本で 応用するとき、 何を 決めればよいのか?
- 出店する土地の人が、すでに知っている文脈を1つ選ぶ(文化、街の性格、相手国へのイメージ)
- ブランドが持ち込むものの中で、その文脈と交わる点を1つ決める
- 交わる場面を、来場者が写真1枚で説明できる形にして会場の中心に置く
- 借りる文脈の持ち主(団体や土地)への敬意を欠かない表現になっているかを確かめる
- 招待する人に、何と何が交わる場なのかを事前に伝えておく
海外ブランドが日本で施策を組むときの承認の流れは本国承認が必要な外資ブランドのキャスティングは、どこで時間がかかるのかで扱っています。体験の設計から当日の運営までを相談する場合の窓口は、SNSアクティベーションのサービスページにまとめています。
この 記事の 範囲
この記事は、各出典の報道と発表に書かれている内容だけをもとに、3つのポップアップの設計を読み解いたものです。来場者数や売上、実際の投稿の数は確認できないため扱っていません。各ブランドの施策の優劣を比べるものではありません。
おわりに
海外の街で語られる会場は、ブランドの世界観を押し出すだけでは生まれにくいものです。現地の人が知っている文脈と、自分たちが持ち込むものが交わる場面を1つ用意することが、初めての土地で語られるための近道です。