Case2026.11.06

SNSアクティベーション事例 — 商品を主役にしないショートドラマは、なぜ最後まで見られるのか

#SNSアクティベーション#事例

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商品を前面に出さないショートドラマが最後まで見られるのは、広告としてではなく「続きが気になる作品」として届くよう、物語の中に商品を置いているからです。ここでは米国の2つの施策から、その置き方の共通点を読み解きます。なお本記事でいう SNSアクティベーション とは、体験がSNSで語られるところまでを含めて設計するアクティベーションのことです。詳しくはSNSアクティベーションとはにまとめています。

施策地域・業種何をしたか語られる・見続けられる仕掛け出典
Urban Decay「Ghost Hunter Hotline」北米・化粧品縦型ドラマの配信サービスと共同で全6話を制作商品名の語感をそのまま物語の道具にし、毎話の終わりに続きを引くMarketing Dive
7-Eleven「A Convenient Love」北米・小売Instagramで全7話のミニドラマを配信1話に1品の商品を登場させ、深夜の買い出しという場面で物語を進めるAdweek

商品が主役でないのに、なぜ施策として成り立つのか

どちらの施策も、商品は物語を動かす道具として登場します。Urban Decayは、連絡を急に絶たれた相手への仕返しを描く物語に、名前が「連絡を絶つ」という言葉と重なるスプレーを組み込みました。報道によると、全6話は各話が数分で、終盤に元恋人が戻ってきて主人公の計画を狂わせる、続きの気になる展開です。

7-Elevenは、若い学生2人が深夜の買い出しを重ねるうちに人生が交わっていく物語を、韓国料理の新メニューの紹介と重ねています。各話で取り上げる品が違い、期間限定の割引とも結びついています。商品の説明を順番に並べるのではなく、場面の中で自然に手に取られる形にしている点が共通しています。

Urban Decayの事例では、何が体験で、何が見続ける理由だったのか

体験にあたるのは、ドラマを見ること自体です。商品の説明を聞く時間ではなく、物語を追う時間が主になっています。見続ける理由は、主人公の目的がはっきりしていること(仕返しをする)と、最終話の前に状況がひっくり返ることの2点です。テーマはハロウィーンの季節感と、現代の恋愛をやや皮肉に描く視点で、見る人が自分の経験を重ねやすい題材になっています。商品名の語感を物語に使ったことで、見終えた人が「あのスプレーの話」と一言で語れる点も、SNSで話題にしやすい構造です。

7-Elevenの事例では、何が体験で、何が見続ける理由だったのか

体験にあたるのは、深夜のコンビニという身近な場面で、2人の関係が少しずつ変わっていく様子を追うことです。見続ける理由は、1話ごとに違う商品が出てくるため、どの話から見ても楽しめ、かつ次も見たくなることにあります。韓国のドラマを思わせる作りは、すでに多くの人が関心を持っている文化に乗る選び方で、新しい世界観を一から説明する必要がありません。期間限定の割引と話が結びついているため、見た後の行動にもつながりやすい設計です。

続けて見られる理由は、どこにあるのか

共通点は3つ読み取れます。

  1. 物語の場面が、見る人の日常に近いこと(連絡を絶たれる経験、深夜のコンビニ)
  2. 1話ごとが短く、次の話へ進む理由があること
  3. 流れる場所が、ドラマを見る習慣のある場であること

Urban Decayの場合、制作は外部の代理店ではなく、ドラマ視聴者の傾向をよく知る配信サービスと共同で行ったと報じられています。制作期間は約4週間とされ、従来の広告より短かったとのことです。つまり、見る人の習慣を持っている相手と組むことが、設計の出発点になっています。

成果はどこまで分かっているのか

公開から5日間で380万回の再生があり、配信サービス内の視聴ランキングで2位になったと報じられています。ただしこれはブランド側が共有した数字で、売上や購買への影響は示されていません。7-Elevenの記事には、再生数などの成果の記載がありません。どちらも、成果の全体像はまだ分からない段階の施策です。事例から読み取れるのは「設計の型」までで、「効果の大きさ」ではありません。

日本で応用するとき、先に決めておくことは何か

  1. 物語の主役は誰か(商品ではなく、見る人が自分に重ねられる人物や場面)
  2. 商品が物語の中で果たす役割(道具か、きっかけか、背景か)
  3. 1話の長さと、続きを見る理由の置き方
  4. 流す場所(見る習慣のある場か)と、その場の運営側と組めるか
  5. 反応を何で見るか(再生数だけでなく、語られ方まで含めるか)

たとえば、新作の化粧品を秋の時期に出す場合は、季節の行事に合わせて「その時期の気分」を主題にする方法があります。食品を扱う小売の場合は、1品ずつを登場させる構成にすれば、各話が単独でも見られます。どちらの場合も、物語の面白さが先にあり、商品はその中で自然に見えることが条件になります。

この記事の範囲

ここで扱ったのは、公開された報道に基づく2つの施策の設計の読み取りです。両施策の成果の大きさ、売上への影響、制作の詳細は報道されている範囲を超えて判断していません。ブランドの優劣も論じていません。

おわりに

商品を前面に出さない設計は、見る人に「広告を見ている」と感じさせにくい一方、何を伝えたかったのかが曖昧になる危うさもあります。物語の中で商品に与える役割を、先に1文で言えるかどうかが分かれ目です。体験を設計する考え方は、SNSアクティベーションのページでもご紹介しています。