起用前に NG商材・ NG表現は、 いつ・ どう 伝えておくべきか
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NG商材とNG表現は、起用が決まった直後に、契約書とは別の1枚のチェックリストにして渡し、制作前の打ち合わせで口頭でも確かめておくのが実務的です。契約書の禁止事項の条項は後から拠り所にするためのもので、現場で読まれるのはチェックリストの方です。長いガイドラインを契約と一緒に送るだけでは、撮影の段階で読み返されません。
| 工程 | NGについて決めること・すること | 関わる人 |
|---|---|---|
| 候補選定の前 | ブランド側のNGを棚卸しし、理由つきで3種類に分ける | ブランド担当、キャスティング会社 |
| オファー時 | 競合の扱いと商材のNGを一言で先に伝える | キャスティング会社、インフルエンサー |
| 契約時 | 禁止事項の条項に落とし、違反があった場合の扱いを決める | ブランドの法務、本人 |
| 制作前の打ち合わせ | チェックリストを渡し、口頭で確かめる | 全員 |
| 投稿前の確認 | チェックリストと照らして確認し、修正のお願いは該当項目を示して行う | ブランド担当、キャスティング会社 |
なぜ 契約書の 禁止事項だけでは 足りないのか
契約書は、何かが起きた後に立ち戻るための文書です。撮影の前日に契約書を開いて禁止事項の条項を読み返す人はほとんどいません。一方で、投稿の表現が問題になるのは、撮影と編集の最中です。その時に手元にあるのは、短くて見返しやすい資料でなければ意味がありません。
私たちがインフルエンサーキャスティングとはで整理した通り、キャスティング会社の仕事は候補を探して終わりではなく、依頼の条件を本人が迷わない形に翻訳する工程を含みます。NGの伝え方はその工程の中心にあります。伝え方がうまくいかなかったときの修正は、本人の責任ではなく、伝える側の設計の問題として扱います。
NGは 3種類に 分けると 伝わる
NGを一覧にするとき、性質の違うものを混ぜると読まれなくなります。次の3種類に分けて、それぞれ理由を1行つけます。
- 商材のNG: 同じ投稿に写してほしくない商品(競合、ブランドの世界観と合わない商材)
- 表現のNG: 言ってほしくない言い回し(効能の断定、比較、法令や業界の自主基準に触れる表現)
- 振る舞いのNG: 投稿の場面で避けてほしいこと(未成年に見える演出、危険な行為、公序良俗に触れる場面)
たとえば、スキンケア商品で「シミが消える」のような効能の断定が使えない場合、理由を「薬機法の範囲で、化粧品に認められていない表現のため」と添えます。理由があると、本人は似た表現を自分で避けられます。表現の範囲の考え方はビューティブランドの成分・効能訴求は、インフルエンサー投稿でどこまで伝えてよいかで扱っています。
もう1つの例として、酒類ブランドで、投稿に未成年に見える人が写らないこと、飲酒を促す表現を避けることをお願いする場合は、振る舞いのNGに入れます。「未成年者の飲酒を連想させる場面」のように、場面で書くと迷いが減ります。
各工程で、 つまずきやすいのはどこか
オファーの段階では、競合の扱いを後回しにしがちです。起用が決まってから「同じカテゴリの商品はしばらく投稿しないでほしい」と伝えると、本人の予定と合わず、話が戻ります。競合の範囲と期間は、オファーの文面に一言入れておきます。
契約の段階では、法務の文言がそのまま本人に渡ることがあります。条項は条項として残し、本人に渡す版は別に作ります。制作前の打ち合わせでは、チェックリストを送って終わりにせず、項目ごとに「ここは大丈夫そうですか」と口頭で確かめます。本人の企画案と照らすと、NGに触れそうな箇所がこの時点で見つかります。
投稿前の確認では、NGに触れていない表現まで直したくなることがあります。修正をお願いする範囲は、チェックリストの項目に対応するものに絞ります。範囲の考え方はインフルエンサーへの修正指示はどこまで出してよいかとタイアップ投稿の文章・カット割りはどこまで指定してよいかで整理しています。
最初に 決めておくこと
- NGの一覧は、ブランド側で理由つきに整理してからキャスティング会社に渡す
- チェックリストは1枚に収め、3種類に分けて、各項目に理由を1行つける
- 競合の範囲と期間は、オファーの文面に入れる
- 契約書の条項と、本人に渡すチェックリストは別の文書にする
- 制作前の打ち合わせで口頭で確かめる時間を、進行表に入れておく
- 投稿前の確認で修正をお願いする範囲は、チェックリストの項目に限る
この6点を起用の初期に決めておくと、撮影の直前に条件が増えることが減り、本人との関係も保てます。私たちのキャスティングの進め方はサービスページにまとめています。
この 記事の 範囲
この記事では、NG商材・NG表現の伝え方と、工程ごとの役割に絞りました。契約書の条項の文言、違反があった場合の対応、業種ごとの表現規制の詳細は扱っていません。個別の表現が法令に触れるかどうかの判断は、この記事ではしていません。
おわりに
NGを伝える目的は、本人を縛ることではなく、迷わずに本人らしい投稿を作ってもらうことです。短く、理由つきで、読まれるタイミングで渡す。この3つがそろえば、禁止事項は関係を損なう材料ではなく、安心して進めるための前提になります。