Insight2026.10.30

投稿本数・修正回数・使用期間は、いつ誰と合意しておくべきか

#起用設計#選定プロセス

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投稿本数・修正回数・使用期間の3つは、正式な依頼(オファー)の文面で報酬・期日と一緒に示し、インフルエンサー本人または所属事務所の合意を得たうえで、撮影や制作に入る前に書面で確定させます。そのためには、オファーを出す前にブランドと代理店の間で3つの上限を決めておく必要があります。合意の後に条件を足すときは、元の依頼の延長ではなく、追加のお願いとして改めて合意を取ります。

工程決めること関わる人
1. 企画・社内確認3つの条件の上限と、譲れる順番ブランド担当、代理店、必要に応じて法務・本国
2. オファー3つの条件を報酬・期日と同じ文面で示す代理店・キャスティング担当から本人・事務所へ
3. 合意・書面化合意した条件を契約書か条件明示で確定する発注する側と本人・事務所
4. ブリーフ・制作「修正」と「作り直し」の線引きを共有するブランド、代理店、本人
5. 投稿後使用期間の起点と終了日を記録し、延長は別に相談するブランド、代理店
3つの条件は、どの段階で誰と決まるか
3つの条件は、どの段階で誰と決まるか

なぜ、オファーの段階で3つの条件を示す必要があるのか?

3つの条件は、インフルエンサーが依頼を受けるかどうかを決める材料そのものだからです。同じ報酬でも、投稿が1本か3本か、修正が1回か無制限か、素材の使用が自社のSNSだけか広告まで含むかで、引き受ける負担はまったく違います。オファーの時点で示されていなければ、本人は判断ができず、合意した後に条件が増えれば「最初の話と違う」という受け止めになります。

特に起きやすいのは、合意してから「ストーリーズでも告知してほしい」「広告にも使いたい」と足すケースです。足したい内容が正当でも、後から加えると、関係を損ねる原因が条件の中身ではなく順番になってしまいます。条件を後から足す場合の考え方は二次利用の許諾を後から追加でお願いしてもよいかで整理しています。

社内で先に上限を決めるのは、オファーの文面に書けるようにするためです。ブランドの中で「広告にも使うかもしれない」が決まっていないまま依頼を出すと、使用期間の欄が空欄か曖昧な表現になり、その曖昧さが後の行き違いになります。

投稿本数は、何を含めて数えればよいのか?

投稿本数は、媒体と形式ごとに分けて数えます。「Instagramで2本」ではなく、「リール1本とストーリーズ2回」のように書くと、本人が作業量を見積もれます。ストーリーズにリンクを付けるか、ブランドの投稿を本人のアカウントで再投稿するか、共同投稿にするかも、本数とは別の作業として書き添えます。

たとえば、新作の発売日に合わせて10名にお願いする場合、発売日のリール1本と、店頭に並んだ週のストーリーズ1回を条件にするなら、ストーリーズの投稿日の幅(発売から7日以内など)も一緒に示します。日付の幅が書かれていないと、本人は都合のよい日を選べず、ブランドは期待した週に投稿が並ばない、というすれ違いが起きます。

本数で迷ったら、何本あれば施策の目的を満たせるかから逆算します。発売の告知が目的なら発売日の1本を厚くし、売り場への来店が目的なら店頭に並んだ後の1回を足す、というように、目的ごとに必要な本数と時期が決まります。

修正回数は、どこまでを「修正」と決めておくべきか?

修正回数を決めるときは、回数より先に「何が修正に当たるか」を決めます。事実の誤り、PR表記の漏れ、薬機法などに関わる表現、ブランドのNG表現の差し替えは修正です。構成や撮影場所を変えて撮り直すのは、修正ではなく作り直しです。この線引きが無いまま「修正2回まで」と書くと、1回の修正依頼で撮り直しを求めてしまい、回数の取り決めが意味を持たなくなります。

3つの条件で、先に書いておくこと
3つの条件で、先に書いておくこと

あわせて、ブランドが確認を返す期限も書きます。本人が下書きを出してから確認が返るまでに時間がかかると、投稿日が近づき、本人の側で直す時間が無くなります。修正の指示をどこまで出してよいかはインフルエンサーへの修正指示はどこまで出してよいかにまとめています。

使用期間は、何を起点に何を決めるのか?

使用期間は「どこで使うか」「いつから数えるか」「終わったらどうするか」の3つで決めます。使う場所は、ブランドの公式SNSでの再投稿、ECの商品ページ、広告配信、店頭のPOPなどに分けて書きます。起点は投稿日か納品日のどちらかに揃え、期間が終わった後に、掲載済みのものを削除するのか、そのまま残してよいのかも決めておきます。

たとえば、発売キャンペーンで本人の投稿を店頭POPと広告に使う場合、店頭は売り場の入れ替えまで、広告は配信期間の終わりまで、というように場所ごとに期間が違うことがあります。1つの期間でまとめず、場所ごとに書くと、延長が必要になったときにも話がしやすくなります。二次利用の基本は投稿素材の二次利用とは?広告転用の基本と注意点で扱っています。

ブランド・代理店・インフルエンサーは、それぞれ何を確かめるのか?

ブランドは、社内で3つの上限と譲れる順番を決め、本国承認や法務確認が要るなら、オファーより前に済ませます。代理店やキャスティング担当は、その上限をオファーの文面に落とし、本人や事務所からの質問に答えられる状態で依頼を出します。インフルエンサーの側は、示された条件で作業量と期間を見積もり、受けられない条件があればその時点で伝えます。

従業員のいない個人に依頼する場合は、合意したら直ちに取引条件を明示する決まりがあります。詳しくはフリーランス新法は、インフルエンサーへの依頼にどう関係するかで整理しています。契約書の全体像はインフルエンサー契約書に最低限入れておくべき項目とは何かにまとめています。

最初に決めておくこと

  1. 投稿本数を媒体と形式ごとに決め、リンク・再投稿・共同投稿の有無も書く
  2. 「修正」と「作り直し」の線引きを決め、修正の回数と確認を返す期限を書く
  3. 使用する場所ごとに、使用期間の起点・終わり・終了後の扱いを書く
  4. 3つの条件の上限と、交渉になったときに譲れる順番を社内で決めておく
  5. 合意した条件を、制作に入る前に契約書か条件明示のメッセージで確定させる

この記事の範囲

この記事は、3つの条件を決める順番と相手を整理したものです。条件ごとの報酬の考え方、契約書の条文の書き方、個別の契約が法令に適合しているかの判断は扱っていません。契約の内容に不安がある場合は、専門家に確認してください。

おわりに

3つの条件は、内容よりも先に、示す順番が関係を左右します。オファーの文面に書ける状態を社内で先に作っておくことが、制作中の行き違いを減らす一番の近道です。