Insight2026.10.23

インフルエンサー投稿を広告配信に転用するとき、表記と許諾はどう変わるか

#起用設計#PR表記

An English version of this article is not yet available. The original Japanese text is shown below. Read the original in Japanese

インフルエンサーの投稿を広告配信に転用するときは、通常の投稿とは別に、許諾の範囲・期間・表示の扱いを決め直す必要があります。もとの投稿への許諾が「本人のアカウントでの投稿」だけなら、広告として配信することは、その範囲に含まれていないと考えるのが安全です。

使い方許諾で確認すること表示で確認すること
本人のアカウントでの投稿投稿の内容と期間PR表記の有無と位置
ブランドの公式アカウントでの再掲再掲の範囲と期間、クレジットの扱い自社の投稿であることが分かるか
広告配信(本人の投稿を広告に使う)広告としての利用、配信の期間と媒体、編集の可否広告であることが受け手に分かるか
広告用の素材として別途作り直す素材の権利の帰属、利用範囲広告であることが分かる形になっているか

通常の投稿と広告配信では、何が違うのか?

通常の投稿は、本人のアカウントで本人の言葉として公開されるものです。一方、広告配信は、ブランドが費用をかけて、本人のフォロワー以外にも届ける使い方です。受け手に届く範囲も、投稿が見られる期間も、本人が想定していたものとは変わります。

そのため、もとの依頼の許諾が「本人のアカウントでの投稿」を前提にしていた場合、広告配信は別の許諾が要る使い方になります。許諾を後から追加する場合の考え方は、二次利用の許諾を後から追加でお願いしてもよいかで整理しています。ここでは、広告配信に絞って確認します。

許諾では、何を決めておくべきか?

広告配信の許諾は、次の4点を明確にしておくと、後から食い違いが起きにくくなります。

  1. 広告としての利用を含むか(含む場合は、その旨を契約書に書く)
  2. 配信する媒体(どのサービスの、どの広告枠か)
  3. 配信する期間(開始日と終了日)
  4. 編集の可否(切り出し、字幕の追加、尺の調整など)

たとえば、発売前の商品を紹介した動画が好評だったので、そのまま広告として配信したい場合を考えます。もとの許諾に広告利用が含まれていなければ、まず本人または所属事務所に、媒体・期間・編集の範囲を伝えて、追加の許諾をお願いします。投稿後に「好評だったから」と事後に連絡するのではなく、利用したい範囲を先に示してお願いすることが、関係を保つうえでも大切です。

広告配信の期間が終わったら、配信を止める手順も決めておきます。期間を過ぎても配信が続いていると、本人が想定していない使われ方になります。

表示は、どう変わるのか?

消費者庁の案内(令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります、2026年10月確認)によると、広告であることを隠す表示は、2023年10月1日から景品表示法の規制対象になっています。規制の対象は、商品やサービスを提供する事業者(広告主)です。

広告として配信する以上、受け手が広告だと分かる形にすることが前提です。ただ、広告の表示は、媒体の広告機能ごとに仕組みが違います。本人の投稿を広告として配信する機能には、広告であることを示す表示が自動で付くものもあれば、付かないものもあります。どの表示が付くかは、配信する時点の媒体の公式ヘルプで確認してください。

もうひとつ、通常の投稿でPR表記を付けていた場合も、広告配信のときに表示が切れたり、位置が変わったりすることがあります。配信を始める前に、実際の画面で、広告であることが分かるかを確認しておくことをおすすめします。

本人への連絡では、何を大切にするのか?

投稿は、本人が自分のアカウントで、自分の言葉として公開したものです。広告に使うということは、本人の顔や声、言葉が、普段とは違う文脈で多くの人に届くことを意味します。

そのため、広告配信をお願いするときは、次のことを伝えると、本人も安心して判断できます。

  • どの媒体で、どのくらいの期間、配信するのか
  • 編集を加える場合、どこをどう変えるのか
  • 配信の前に、仕上がりを確認してもらえるのか

たとえば、動画の一部を切り出して短い広告にする場合は、切り出した部分が本人の意図と違う意味に読めないかを、本人に見てもらいます。見てもらう手順を入れておくと、お願いする側も、後から修正になる事態を避けられます。

よくある誤解は何か?

1つ目は、「投稿の依頼をしたから、広告にも使える」という誤解です。投稿の許諾と、広告配信の許諾は、別のものとして考えるほうが安全です。

2つ目は、「本人が公開した投稿だから、自由に使える」という誤解です。公開されていても、権利は本人にあります。利用するには、許諾が要ります。

3つ目は、「広告と書いてあれば、PR表記は要らない」という誤解です。広告であることが受け手に分かる形になっているかが大切で、媒体の表示と本人の表記が重なる場合の扱いは、案件ごとに確認が要ります。

この記事の範囲

この記事は、広告配信への転用についての一般的な考え方をまとめたものです。個別の投稿や広告の適否は判断していません。媒体の広告機能と表示の仕様は変わることがあるため、実際の案件では、法務の担当者と媒体の最新の公式ヘルプで確認してください。

おわりに

広告配信への転用は、もとの許諾と別に決めておく項目が増えます。依頼の段階で、広告利用の可能性を含めた契約にしておけば、好評だった投稿を後から活かすときも、本人との合意がスムーズです。許諾全体の考え方は、投稿素材の二次利用とは、契約の全体像はインフルエンサー契約書に最低限入れておくべき項目とは何かで整理しています。