日本の ステマ 規制は、 韓国の 表示 ルールと 何が 違うか
「広告であることを隠さない」という目的は同じですが、決め方が違います。日本のステマ規制は、「一般消費者が事業者の表示だと判別できるか」という考え方を示し、表示の位置や文言は指定しません。韓国は公正取引委員会の審査指針が、媒体ごとの表示の位置、文言、言語まで指定します。本社に説明するときは「日本は考え方、韓国は書き方」と整理するのが近道です。
| 場合 | 日本(景品表示法) | 韓国(審査指針) | 理由 |
|---|---|---|---|
| 対価を払って投稿を依頼する | 事業者の表示にあたり、広告だと分かる表示が要る | 経済的利害関係の表示が要る | 両国とも、依頼と対価がある投稿は広告として扱う |
| 商品を無償で送り、投稿は本人の自由 | 事業者が内容の決定に関与していなければ対象外。方針に沿った投稿を求めていれば対象 | 無償提供も経済的利害関係にあたり、推薦・保証をするなら表示が要る | 日本は「関与の有無」、韓国は「利害関係の有無」で判断する |
| 購入リンクの成果に応じて後から報酬を払う | 事業者が関与していれば対象(アフィリエイトも同じ扱い) | 将来・条件付きの対価も表示の対象と明記(2024年12月の改正) | 韓国は「まだ受け取っていない対価」を明文化した |
| 社員や家族が自社商品を投稿する | 販売を促す立場の社員の投稿は事業者自身の表示として扱われる | 雇用・親族などの関係も経済的利害関係に含む | 両国とも、関係がある人の投稿は第三者の投稿とは見ない |
日本と 韓国の ルールは、 項目ごとに 何が 違うのか
根拠は、日本が景品表示法の指定告示(2023年10月1日施行)、韓国が表示・広告の公正化に関する法律と「推薦・保証等に関する表示・広告審査指針」です。項目ごとに並べると、違いは「位置・文言・言語を指定するかどうか」と「対価をどう捉えるか」に集まります。日本は消費者庁の案内(2026年10月確認)の通り、規制の対象は商品・サービスを供給する事業者(広告主)だけで、依頼を受けた第三者は対象外です。運用基準は、事業者の表示だと分かる例として「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」などの文言を挙げる一方、文言を指定してはいません。不明瞭な例として、大量のハッシュタグの中に表示を埋もれさせる、周りの文字より小さく薄く表示する、長い動画の途中だけに表示する、といった場合を挙げています。
韓国は、韓国公正取引委員会の審査指針が、文字中心の媒体では題名か冒頭に、写真では画像の中か本文の冒頭・最初のハッシュタグに、動画では題名や冒頭・末尾に繰り返して表示するよう定めています。表示の文言は明確であることが求められ、「所定の手数料を受け取る可能性がある」のような条件付きの表現は不明確な例とされています。2025年12月には、指針の案内書が改訂され、接近性・認識可能性・明確性・言語の同一性の4原則と、主な媒体ごとの表示例が示されたと報道されています。言語の同一性とは、本文と同じ言語で表示するという原則です。
| 項目 | 日本 | 韓国 |
|---|---|---|
| 根拠 | 景品表示法第5条第3号の指定告示と運用基準 | 表示・広告の公正化に関する法律と、公正取引委員会の審査指針 |
| 規制の対象 | 広告主(事業者)のみ | 広告主が中心。推薦・保証をする側も指針の対象として扱われると解説されている |
| 表示の位置 | 指定なし。判別できるかで判断 | 媒体ごとに指定(題名・冒頭・画像内・繰り返し) |
| 文言 | 指定なし。例として「広告」「PR」など | 明確であること。条件付きの表現は不可 |
| 言語 | 定めなし(日本語で分かることが前提) | 本文と同じ言語で表示 |
| 将来・条件付きの対価 | 関与の有無で判断 | 表示の対象と明記 |
| 違反時 | 広告主への措置命令 | 是正措置、課徴金、刑事罰の規定がある |
韓国の 本社に 日本の ルールを 説明するとき、 何から 伝えるか
伝える順番は3つです。1つ目は「対象は広告主」であること。韓国の感覚では、表示を怠ったインフルエンサー側にも責任が及ぶと受け取られやすいので、日本では措置命令の相手が広告主である点を先に伝えます。2つ目は「位置と文言の指定が無い」こと。本社から「冒頭に『広告』と入れる」という指示が来たとき、日本ではそれ自体は問題ありませんが、要件は「分かること」なので、日本語で意味が通る文言にする必要があります。3つ目は「関与の有無で判断する」こと。無償提供で投稿は自由という設計でも、投稿の方針や内容を求めていれば日本では事業者の表示になります。韓国式の「無償提供なら表示」という整理と結果は近いので、ここは揃えやすい部分です。
たとえば、韓国のコスメブランドが日本で発売前のギフティングを20名に送る場合、本社は「韓国と同じく冒頭に表示」と考えます。日本では、表示が日本語で分かる文言であること、投稿の中で埋もれないことを確かめれば、本社の方針をそのまま採用できます。韓国と日本の依頼の進め方の違いは、韓国と日本で、インフルエンサーへの依頼の進め方はどう違うかで整理しています。
韓国式の 表記を 日本に 持ち 込むと、 どこでつまずくか
つまずきは2方向で起きます。韓国式を日本に持ち込む場合、ハングルの表示や、韓国で使われる略語をそのまま日本の投稿に入れると、日本の消費者には広告だと分かりません。日本語で「広告」「PR」など意味の通る文言に置き換えます。逆に、日本式を韓国に持ち込む場合、日本で通用している「本文の末尾にPR」は、韓国では位置の指定に合いません。英語の「AD」だけの表示も、言語の同一性の原則に照らすと避けるべきです。
もう1つの違いは、複数の国で同時に投稿する案件です。たとえば、日韓同時発売で、韓国在住のインフルエンサーが韓国語で投稿し、その投稿を日本のアカウントで再掲する場合、再掲の時点で日本の消費者向けの表示になるので、日本語で分かる表示を足す必要があります。表記の基本は、柱記事のPR表記とステマ規制にまとめています。
誰が 何を 確認するか
ブランド(広告主)は、日本の規制の対象が自分であることを前提に、投稿の表示を最終確認する責任を持ちます。代理店は、両国の要件を満たす表示の形を依頼文に書き、投稿前の確認で、埋もれていないか、日本語で分かるかを見ます。インフルエンサーには、依頼の段階で「どの位置に、どの文言で」入れるかを伝え、投稿前に確認する流れを共有します。表示の方法を本人任せにして、後から直してもらう形は、関係を損ねやすいので避けます。違反した場合に何が起きるかは、ステマ規制に違反するとどうなるのかで扱っています。
依頼の 段階で 決めておくことは 何か
- 投稿の対象国を決める。日本向けか、韓国向けか、両方かで表示の要件が変わります
- 表示の文言と位置を依頼文に書く。日本向けは日本語で分かる文言、韓国向けは指針に沿った位置と言語
- 無償提供の場合も、投稿の方針を求めるなら表示を依頼する。日本では関与の有無、韓国では利害関係の有無で判断されるので、どちらでも表示する前提にするのが安全です
- 将来の対価(購入リンクの成果報酬、優秀レビューの選定など)がある場合は、依頼の時点でそれを表示の対象に含める
- 再掲・翻訳の予定がある場合は、再掲先の国の要件で表示を足す
よくある 誤解はどこにあるか
「末尾に#PRを付ければ両国で通る」は誤解です。韓国では位置が指定され、日本でも大量のハッシュタグに埋もれれば不明瞭とされます。「英語のADなら世界共通」も誤解です。韓国では本文と同じ言語が原則で、日本でも日本語で分かることが前提です。「日本ではインフルエンサーも処分される」も誤解で、日本の規制の対象は広告主です。ただし、広告主が対象だからこそ、広告主と代理店が投稿前に確認する責任を負います。韓国コスメの日本展開での起用の考え方はこちらのページにまとめています。
この 記事の 範囲
この記事は、日本の消費者庁の案内と運用基準、韓国の公正取引委員会の審査指針に関する公開情報をもとに、2026年10月時点の違いを整理したものです。韓国側の内容は、指針の改正に関する報道と公開された解説で確認した範囲で書いており、原文の条文はご自身で韓国公正取引委員会のサイトで確認してください。個別の投稿が規制にあたるかどうかの判断や、法的な助言はこの記事では行いません。両国とも改正が続いているため、案件ごとに最新の情報を確認する必要があります。
おわりに
日本は「分かるか」という考え方で、韓国は「どこに・何を・何語で」という書き方で定めています。本社への説明は、この一言から始めると伝わりやすくなります。依頼の段階で対象国と表示の形を決めておけば、両国の要件を同時に満たす投稿は難しくありません。