Case2026.10.07

韓国コスメブランドが日本でインフルエンサー施策を始めるとき、最初の3か月で何をするか

#ギフティング#業界動向

韓国コスメブランドが日本でインフルエンサー施策を始める際は、最初の3か月を「表示ルールの整理」「ギフティングと起用の設計」「発売・販促に合わせた投稿」の順で組むと、準備が後手にならずに進められます。

時期することの中心気をつけること
1か月目薬機法・景品表示法に沿って、伝えてよい効能の範囲と表示ルールを社内で整理する日本法人・代理店・本社の間で表現の基準がずれやすいので、最初に文書化する
2か月目ギフティングと起用の設計を行い、依頼文・表記の前提を決める投稿が任意であっても表示の対象になりうることを、依頼の段階で伝えておく
3か月目発売・販促の時期に合わせて投稿のスケジュールを組む発売前の情報管理と、投稿解禁日の共有を徹底する

この業界に特有の制約は何か

化粧品は薬機法・景品表示法の対象であり、インフルエンサーの投稿であっても、効能・効果の書き方には会社の広告と同じ基準が適用されます。「伝えてよい効能の範囲」を社内で先に整理しておかないと、投稿ごとに表現がばらついてしまいます。ギフティングについても、ギフティングとは?タイアップとの違いと向き不向き【基礎解説】 で扱っている通り、提供の目的や取引関係によってPR表記が必要になることがあり、化粧品のサンプル提供でもこの考え方がそのまま当てはまります。本社が持つ訴求表現をそのまま日本語に訳して使うと、薬機法の基準に合わないことがあるため、翻訳ではなく日本向けの表現として作り直す前提で進めます。パッケージや本社サイトにすでに記載されている効能表現であっても、日本の基準に合わせて書き直しが必要になる場合があるため、1か月目にまとめて確認しておくと、2か月目以降の依頼文の作成がスムーズになります。この確認を後回しにすると、依頼文を出し直す手間が発生し、全体のスケジュールが遅れる原因になります。

主な施策の型は、どれが向いているのか

施策の型向く場面向かない場面
サンプリング(ギフティング)日本でのブランド認知がまだ低く、まず使ってもらう体験を広げたい時期効能の訴求が強い商品で、投稿者ごとに表現がばらつくと基準を保てない時
発表会・体験会テクスチャーや香りなど、実際に試さないと伝わらない特徴がある商品会場を用意する時間が確保できない、立ち上げ初期の段階
継続的なタイアップ投稿発売後、一定期間にわたって認知を積み上げたい商品本社の表現承認に時間がかかり、投稿のタイミングを合わせにくい場合

美容業界全体の施策の実務は、コスメ・美容業界のインフルエンサーマーケティング — 発表会・ギフティング・投稿率の実務 にまとめています。どの型を選ぶ場合でも、本社の確認工程がどこで発生するかを先に把握しておくことが、日本側のスケジュールを立てる上での前提になります。代理店を通す場合は、本社・日本法人・代理店・インフルエンサーの4者の間で確認の順番を決めておくと、表現の承認が重複したり抜け漏れたりすることを防げます。

発売・季節の時期にどう合わせるか

たとえば、春に新作のファンデーションを展開する場合は、発売の1〜2か月前からサンプリングを始め、発売週に体験会や継続的な投稿が重なるように逆算して組みます。たとえば、入国シーズンに合わせてスキンケアの新しいラインを立ち上げる場合は、来日前の認知づくりと、来店や体験の実演を分けて設計し、認知には投稿の到達範囲を、体験の実演には実際に試した様子が伝わる投稿を担う役割として分けて考えると整理しやすくなります。いずれの場合も、本社側の発売スケジュールの確定が遅れると、日本側の準備期間が圧縮されるため、最初の確認事項として発売日の確定時期を押さえておく必要があります。季節商品を複数回に分けて展開するブランドの場合は、1回目の実測結果を2回目以降の時期の組み方に反映できるよう、投稿のタイミングと実測のタイミングをあらかじめセットで決めておくことも有効です。

表示・表現で気をつける点は何か

インフルエンサーの投稿であっても、効能を保証するような言い切りの表現は、タイアップ投稿のPR表記とは?ステマ規制の基本と実務の型 で扱っているPR表記の考え方とあわせて、依頼文の段階で避けるべき言い回しを共有しておく必要があります。「必ず効果が出ます」のような言い切りや、実測していない数値を使った表現は避け、本人の感想として書ける範囲にとどめてもらうのが基本です。本社から渡される製品資料に効能の数値が記載されていても、その数値をそのまま投稿者に使わせてよいかは、日本の基準で別途確認が必要です。ジャンル別の実務の詳細は、K-beautyのジャンルページ にまとめています。

この記事の範囲

この記事では、韓国コスメブランドが日本でインフルエンサー施策を始める際の、最初の3か月の進め方を扱っています。本社・日本法人・代理店の間での契約や予算の決め方、具体的な効能表現の是非については、商品ごとの条件によって変わるため、ここでは判断していません。

おわりに

日本での最初の3か月は、表示ルールの整理を後回しにせず、ギフティングと起用の設計より先に済ませておくことで、発売に向けた準備全体がスムーズになります。私たちは、本社の基準と日本の表示ルールの両方を踏まえた進め方を大切にしており、立ち上げの初期から日本側の実務に合わせた準備を一緒に組み立てることができると考えています。