Insight2026.09.09

インフルエンサーマーケティングとは?手法の種類と全体像

#起用設計#選定プロセス

インフルエンサーマーケティングとは、SNSで影響力を持つ人の発信を通じて、商品やブランドを生活者に届けるマーケティング手法です。企業自身が語るのではなく、生活者に近い立場にいる第三者が語ることで、届け方そのものが変わります。

一口に「インフルエンサーマーケティング」と言っても、中身は一つではありません。製品を渡して投稿するかどうかを本人の判断に委ねる手法から、継続的な契約を結んで長く伴走してもらう手法まで、関与の深さも期間もさまざまです。この記事では、その全体像を整理します。

なぜ広告と違う効き方をするのか

インフルエンサーマーケティングが広告と違う効き方をする理由は、主に三つあります。

一つ目は、発信者が企業ではなく第三者だということです。同じ情報でも、企業が発信するときと、生活者に近い立場の人が自分の言葉で発信するときとでは、受け取られ方が変わります。

二つ目は、その発信がフォロワーとの継続的な関係の上に成り立っていることです。一回限りの接点ではなく、日々のやり取りの積み重ねの中に商品やブランドの話題が乗ることになります。

三つ目は、発信がコンテンツとして残ることです。テレビCMや純広告と違い、投稿は検索されたり、あとから見返されたりする形で残り続けます。

ただし、これらは「広告より効く」という話ではありません。効き方の質が違う、という理解が実務的には正確です。

手法の全体地図

インフルエンサーマーケティングの手法は、「契約期間(単発か継続か)」と「ブランドの関与の深さ(低いか高いか)」という二つの軸で整理すると全体像が見えやすくなります。

図版1: 手法の類型マップ(契約期間×関与の深さで5手法を整理)
図版1: 手法の類型マップ(契約期間×関与の深さで5手法を整理)

①ギフティング

製品やサービスを提供し、投稿するかどうか、どう投稿するかは本人の判断に委ねる手法です。契約期間は単発、ブランドの関与は5つの手法の中で最も低い位置にあります。投稿は義務ではないため、実際にどれくらいの割合で投稿につながるのかは気になるところですが、私たちの実績記録では投稿率は91%(N=342)でした(ギフティングは実際どれくらい投稿されるのか)。

②タイアップ投稿

対価を伴って投稿の制作を依頼する手法です。単発での依頼が中心ですが、ギフティングより関与は深く、投稿の企画段階から内容をすり合わせます。対価を受け取っている以上、PR表記は必須です。

③アンバサダー

一定期間、継続的な契約を結び、ブランドの発信を担っていただく手法です。単発の施策と違い、関係が積み重なっていくことが前提になります。関与の深さも契約期間も、5つの手法の中でどちらも高い位置にあります。

④イベント招致

新商品の発表会や体験会にお招きし、その場での体験を発信していただく手法です。単発の施策ですが、実際に体験していただく分、ギフティングより関与は深くなります。私たちの実績記録では、来場者の投稿率は94.6%(N=390)でした(イベント来場者はどれくらい投稿するのか)。

⑤共同開発・プロデュース

商品やコレクションの企画そのものに参加していただく手法です。契約期間・関与の深さともに5つの中で最も高く、ブランドとインフルエンサーが対等な立場で一つのものを作り上げていく関係になります。

媒体ごとの特性

同じ手法でも、どの媒体で実施するかによって向き不向きがあります。

Instagramは、世界観やビジュアルの文脈を伝えるのに向いている媒体です。フィード・ストーリーズ・リールといった複数の形式があり、ブランドの持つ空気感を視覚的に伝えやすい傾向があります。一方で、テキストによる詳しい説明には限界があります。

YouTubeは、時間をかけた説明や比較に向いています。動画の尺を長く取れるため、使用感や背景にある考え方まで踏み込んで伝えられます。また、投稿が検索結果に長く残りやすく、資産として蓄積していく側面もあります。

TikTokは、拡散力と偶発的な発見のされやすさに特徴があります。フォロワーではない人にも届きやすいアルゴリズムの性質上、想定していなかった層に届くことがあります。ただし、その分どんな文脈で広がるかを完全にはコントロールしきれません。

いずれの特性も傾向であり、常に成り立つ法則ではありません。同じ媒体でも、起用するインフルエンサーやコンテンツの作り方によって結果は変わります。

進め方の5ステップ

手法と媒体を理解したうえで、実務としてどう進めるかを整理します。

図版2: 進め方5ステップのフロー図
図版2: 進め方5ステップのフロー図
  1. 目的定義 — 認知拡大なのか、購買促進なのか、ブランドの世界観の浸透なのか。目的によって適した手法も媒体も変わるため、最初に言語化しておく必要があります。
  2. 手法と媒体の選択 — 定義した目的に照らして、5つの手法と3つの媒体の組み合わせから最適なものを選びます。
  3. 起用するインフルエンサーの選定 — フォロワー数だけでなく、ブランドとの相性や実際のエンゲージメントを含めて検討する段階です。この選定プロセスの詳細は別記事で扱っています(インフルエンサーキャスティングとは)。
  4. 実施 — ブリーフィング(依頼内容の共有)を丁寧に行い、PR表記など守るべきルールを事前にすり合わせたうえで進めます。
  5. 振り返り — 結果を目的に照らして確認し、次の施策の精度を上げるための材料にします。

つまずきやすい3つのポイント

インフルエンサーマーケティングがうまくいかないとき、その原因の多くはインフルエンサー側ではなく、私たちブランド側の設計にあります。代表的な3つを挙げます。

①フォロワー数だけで選んでしまう

フォロワー数が多いほど効果が大きいとは限りません。同じフォロワー帯でも、エンゲージメント率には無視できない差があります(同じフォロワー帯でもエンゲージメント率はどれだけ違うのか)。選定の基準をフォロワー数だけに置いてしまうことが、結果が伴わない一因になります。

②目的と手法のミスマッチ

認知を広げたいのにアンバサダー契約を結んでしまう、購買につなげたいのにギフティングだけで完結させてしまうなど、目的と手法がかみ合っていないケースがあります。これは前段の目的定義が曖昧なまま手法を選んでしまうことが原因であり、インフルエンサー側の問題ではありません。

③PR表記の準備不足

対価を伴う投稿にPR表記がない状態は、景品表示法のステルスマーケティング規制に抵触するおそれがあります(消費者庁「ステルスマーケティングに関する景品表示法上の考え方」https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/)。表記のルールをあらかじめ用意し、依頼の段階で明確に伝えておくことは、インフルエンサー側ではなく私たちブランド側の責任です。。表記のルールをあらかじめ用意し、依頼の段階で明確に伝えておくことは、インフルエンサー側ではなく私たちブランド側の責任です。)


この記事を書いた私たち

スタッツ株式会社(Stats Corporation)は、Instagram・YouTube・TikTokを中心とするインフルエンサーキャスティング会社です。ブランドの世界観を読む目利きと、実績記録にもとづく客観データの両輪で、外資系ラグジュアリーブランドを含む240以上のブランドのキャスティングとPRイベント制作を支援してきました。