Data2026.07.30

イベント来場者の投稿率94.6%――10名前後を境に、見積もりの前提が変わる

#イベント#投稿率

結論から書きます。イベントに来場したインフルエンサーは、ほぼ例外なく投稿しています。ただしそれは「小さく呼んだとき」の話で、起用人数が増えた案件では、投稿しない人が現れます。私たちの実績記録では、来場者全員の投稿有無を追える案件(37案件・390名)に限ると、全体の投稿率は94.6%でした。この記事では、この数字の中身、つまり「規模によって何が変わるのか」を見ていきます。

なお、本稿で触れる集計はすべて匿名化された集団統計であり、特定のブランド・案件・個人を示すものではありません。

なぜこの視点を公開するのか

「イベントに呼べば、投稿はだいたいついてくる」。これは、私たちが日々の案件で持っている手応えです。創刊記事でお伝えしたギフティング施策の投稿率91%と合わせて考えると、「来場という行動が伴えば、投稿はほぼ付いてくる」という理解で止まってしまいやすい数字でもあります。

ただ、案件を振り返る中で見えてきたのは、この"ほぼ付いてくる"という手応えが、案件の規模によって同じ強さでは効かないということでした。数名を招く座組と、数十名を招く座組とでは、投稿の確からしさの景色そのものが違います。この違いは、これまで「大きい案件は大きい案件なりに大変だ」という漠然とした感覚として語られることはあっても、数字として言語化される機会は多くありませんでした。今回はそこを、私たちの実績記録から数字で確認します。

規模別に見た投稿率

来場者全員の投稿有無を記録から追える37案件・390名を、起用人数の帯ごとに分けました。

起用人数案件数来場者数投稿率
1〜4名18案件48名100.0%
5〜9名8案件61名100.0%
10〜19名5案件70名98.6%
20名以上6案件211名90.5%

10名未満の案件を合計すると、109名中109名が投稿しており、投稿しなかった記録は1件もありません。例外ゼロです。一方、10名以上の案件を合計すると281名中260名(92.5%)にとどまり、今回投稿しなかった21名は、全員がこの「10名以上」の案件から出ています。10名未満の案件からは、投稿しなかった人が1人も出ていません。

仮に全体の94.6%という数字が、人数の規模に関係なく同じ強さで効いているとしたら、10名未満の109名がそろって全員投稿する見込みは、200回に1回もない計算になります。日常的に起こる程度のばらつきでは、説明がつきにくい差だと言えます。

なお、この94.6%という水準は、集計の切り方を都合よく選んだ結果ではありません。来場者全員の投稿有無を追える案件だけに絞らず、記録がある程度揃っている案件まで対象を広げても95.9%、投稿有無が判定できた人全体で見ても96.5%と、いずれも94.6%から大きくは動きません。切り口を変えても近い水準に収まる、という点で、この数字は一定の頑健さを持っていると考えています。

これは「人数が原因」という話ではありません

ここまでの数字を見ると、「人数を増やすと投稿率が下がる」と読みたくなるかもしれません。ですが、正直にお伝えすると、このデータではそこまでは言えません。

大人数の案件は、そもそも座組の性質そのものが小規模な案件と異なっている可能性が高いためです。一斉に声をかける座組になりやすい、関係の浅い相手が混ざりやすいなど、人数以外の要因も同時に変わっている可能性があります。人数という一つの変数だけを取り出して「これが原因だ」と言い切ることは、このデータからはできません。言えるのは、「人数の多い案件ほど、投稿しない人が出ている」という観察までです。

もう一点、誤解を避けるために書いておきます。20名以上の案件は6件しかありませんが、そのうち3件は投稿率100%を維持しています。大人数の案件が一律に崩れているわけではなく、下振れは一部の案件に集中しているというのが、より正確な形です。「大人数だと必ず投稿率が落ちる」という話ではありません。

創刊記事との違い

創刊記事でお伝えしたギフティング施策の投稿率91%と、今回の94.6%は、数字としては近い水準に見えるかもしれません。ただ、問うている中身は別です。創刊記事は「送ったものは投稿されるか」という、単一の行動率を確認したものでした。今回見えてきたのは、「来場者はほぼ投稿する」という手応えそのものが、規模によってどこまで確からしいかという話です。同じ結論の繰り返しではなく、規模という軸を新たに加えることで見える話として、今回の数字を読んでいただければと思います。

座組を設計するときに、私たちが意識していること

ここから先は、数値的な裏付けを持たない、現場の実感に基づく考え方であることを正直に記しておきます。

起用人数が多くなる座組では、来場者一人ひとりとの関係の深さにばらつきが出やすい前提に立ち、個別のフォロー体制をあらかじめ厚くしておくことを意識しています。一斉招致になりやすい座組ほど、依頼の内容や当日の目的を、送付前にもう一段丁寧に言語化しておく余地があると考えています。

また、人数が増えるほど、一人ひとりへの連絡や当日のコミュニケーションが薄くなりがちなのは、体制上どうしても起こりうることです。だからこそ、規模の大きい座組では、誰が誰のフォローを担当するかをあらかじめ決めておく、当日から投稿までの間に一度は個別に接点を持つ、といった運用を厚くする余地があると考えています。規模が大きい案件ほど「大人数だから多少の下振れは仕方ない」で終わらせず、20名以上でも100%を維持できている案件が実際にあることを踏まえ、規模そのものを言い訳にしない座組を目指す、という姿勢を持つようにしています。

おわりに

規模が大きくなるほど、小さな案件では当たり前だったことが、当たり前でなくなる案件が出てきます。その変化に気づいて座組を設計し直せるかどうかが問われるのだと、今回の数字を振り返って感じています。「人数が多いから仕方ない」で片付けず、規模に応じた設計の余地を見直すこと。それが、次の座組の精度につながっていくはずです。

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出典: スタッツ株式会社調べ(自社イベント施策実績、来場者全員の投稿有無が記録から判定できる案件に限定して集計)。引用した数値は既検証の集計記録によるもので、個別の案件・ブランド・時期が特定されない形に統計処理された記録です。