SNSアクティベーション 事例 — 人気IPの 世界に 「入口」を 置いた 2つの 施策は、 なぜ 参加しやすいのか

2つの事例に共通するのは、ブランドが新しい場を作るのではなく、すでに人が集まっている世界の中に参加の入口を置いたことです。ここでいうSNSアクティベーションとは、体験がSNSで語られるところまでを含めて設計するアクティベーションのことです(詳しくはSNSアクティベーションとはを参照)。入口が既存の場にあれば、参加者は新しい作法を覚えずに体験を始められます。
| 事例 | 地域 | 業種 | 何をしたか | 語られる仕掛け | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| ドミノ・ピザ×マインクラフト | 北米ほか(19市場と報じられた) | 外食 | ゲーム内アイテム、限定パッケージ、懸賞、映像加工系クリエイターの出演を組み合わせた | 購入がゲーム内の持ち物になり、クリエイターの動画で見せ方が示される | Marketing Dive |
| ピンタレスト×バービー | 米国・カナダ | プラットフォーム/玩具 | 模様替えのAI機能に、バービーの家の5つの様式を追加した | 自分の部屋の写真が、作品の世界の部屋に変わる | Social Media Today |
ドミノ・ ピザ×マインクラフトでは、 入口がどこに 置かれたのか
報道によれば、この施策は10月26日に始まる計画で、商品は8月末に発売された個人向けのピザです。四角い形が、ブロックでできたゲームの世界観に合うと説明されています。
入口は3か所にあります。1つ目は商品の購入で、会員が購入すると、ゲーム内で使える外見の装飾や、初めての共同ブランドのペットなどを受け取れます。2つ目はゲームの無料トークンの配布で、期間と枚数を区切って配るとされています。3つ目は懸賞で、購入の証明を専用のページに送ると応募できます。
ここでの設計の要点は、購入という現実の行動が、ゲームの中の持ち物に変わることです。持ち物は、ゲームを遊ぶ人同士で見せ合う理由になります。また、映像加工を得意とするクリエイターが、ブランドと自分のチャンネルの両方で見せ方を示すと報じられています。参加者は、何をすれば楽しめるかを動画から知ることができます。記事には売上や反響の数字はなく、効果は確認できません。それでも、購入・無料トークン・懸賞という3つの入口が、遊ぶ人の動機の違いに合わせて並べられている点は、設計の参考になります。
ピンタレスト×バービーでは、 入口がどこに 置かれたのか
こちらは、玩具メーカーの新しいドリームハウスの販促の一環として報じられています。利用者は、自分の部屋の写真を取り込み、5つの様式から1つを選ぶと、数秒でバービーの家風の部屋に変わります。
入口は、すでにピンタレストの中にある模様替えの機能です。新しいアプリを入れる必要がなく、普段の使い方の延長で作品の世界に入れます。結果は利用者自身の部屋の写真から作られるため、「自分の部屋だとこうなる」という語りが生まれやすい構造です。記事には、関連する検索が増えたことが書かれていますが、変換結果を共有する機能については記載がありません。共有が起きるかは、記事からは確認できません。入口の置き方としては、作品を知らない人でも、自分の部屋という身近な素材から参加できる点が特徴です。
2つの 事例から 読み 取れる 型は 何か
- 入口が既存の場にある(ゲーム、日常で使うプラットフォーム)
- 参加の最初の行動が小さい(購入する、写真を取り込む)
- 結果が、参加者自身の持ち物や部屋として残る
2つの違いは、語りが生まれる場所です。前者は、ゲームの中という内輪の場で見せ合う語りが中心になります。後者は、自分の部屋の写真という個人的な素材から、外へ見せたくなる語りが生まれる可能性があります。
日本で 応用するときに、 何を 決めておくべきか
- 参加者がすでにいる場は、どこか(ゲーム、プラットフォーム、店頭)
- 最初の行動を、1つに絞れているか
- 結果が、参加者自身のものとして残るか
- 権利元との取り決めの範囲(世界観の使い方、表示の仕方)
- 現実の購入と、場の中の体験を、どうつなぐか
- 語りが生まれる場所と、その把握の方法
たとえば、百貨店のポップアップなら、すでに人が集まる商業施設の中で、最初の行動を「入口のパネルに自分の持ち物を置く」の1つに絞る設計が考えられます。また、ゲームや動画の世界観を借りる場合は、権利元との取り決めが、施策の自由度を左右します。設計の全体像は、SNSアクティベーションの進め方にまとめています。私たちのサービスの考え方はこちらのページで紹介しています。
この 記事の 範囲
この記事は、報道されている2つの施策を、参加の入口という観点で読み解いたものです。成果の数字、実際の語られ方の量、権利関係の詳細は、出典の記事に記載がないため扱っていません。日本での実施可否は、権利元や媒体との確認が前提になります。
おわりに
人を集める場を一から作らなくても、すでに人がいる場の中に、小さな入口を置くことで体験は始められます。入口の置き場所と、最初の行動の小ささを見直すところから始めてみてください。