SNSアクティベーション 事例 — オンライン 発の ブランドが、 店を 「確かめる 場」にした 3例
オンラインで売ってきたブランドが実店舗を出すとき、語られる店に共通しているのは、店を「在庫を並べて売る場」ではなく「確かめる場」として設計し、買うことはアプリや配送、街の回遊に任せている点です。2026年10月に開いたソウルと香港の3つの店は、いずれも試すことに場所の大半を割き、その後の購入を店の外へつないでいました。
| 国・地域 | 業種 | 何をしたか | SNSで語られる材料になる仕掛け | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 韓国・ソウル(聖水) | ファッションEC(ジグザグ) | 3日間のポップアップ。試着した服をQRコードからアプリで注文 | 試着室での着こなし、受け取り方を選べる買い方 | ニュース記事 |
| 香港(尖沙咀) | 眼鏡型の端末(Rokid) | 店員のいない旗艦店。8つの区画で自分で試し、自動会計で購入 | 自分のペースで試す体験そのもの | ニュース記事 |
| 韓国・ソウル(漢南洞) | ファッション・美容のEC(W Concept) | 創業以来初の単独旗艦店。周辺の18店と組んだ街歩きの企画 | 地図を手に周辺の店を回る行程 | ニュース記事 |
ここで扱うSNSアクティベーションとは、体験がSNSで語られるところまでを含めて設計するアクティベーションのことです。考え方の全体はSNSアクティベーションとはで整理しています。
なぜ オンラインの ブランドが、 試すための 店をつくるのか?
オンラインで買い物をする人にとって、届くまで分からないのは、着たときの形、素材の手触り、使ったときの感覚です。今回の3つの店は、その「届くまで分からない部分」を店で先に確かめてもらうことに場所を使っていました。買う手続きは、ふだんから使っているアプリや配送に残しています。
店で確かめた体験は、その人が語れる中身になります。画面で見ていた商品を実際に手に取った感想は、購入の報告よりも具体的で、見た人にとっても参考になる言葉になりやすいと考えられます。
ソウル 聖水の ポップアップは、 試着から 購入までをどうつないだのか?
ファッションECのアプリ「ジグザグ」は、10月16日から18日まで、ソウル聖水の建物でポップアップを開きました。報道によれば、1階にはアプリに出店する39のショップの秋冬の商品を集め、試着室を6か所用意しています。気に入った商品はQRコードを読み取ってアプリで注文し、その場で持ち帰るか、翌日の配送を選べます。2階には、そのアプリだけに出店する11のショップを集め、素材やデザインを手で確かめてもらう場にしていました。
ここで体験の中心にあるのは試着室です。普段は画面でしか見ない服を着て、鏡の前で確かめる時間は、そのまま着こなしの投稿の材料になります。買い方を選べることも、荷物を持たずに会場を回れるという点で、体験の邪魔をしない設計だと読めます。
香港の 旗艦店は、 店員のいない 店で 何を 体験させたのか?
眼鏡型の端末をつくるRokidは、香港・尖沙咀の商業施設に旗艦店を開きました。報道によれば、店員を置かないセルフサービス型の店で、来店者は8つの区画で端末を掛け、翻訳や道案内、撮影などの機能を自分で試せます。購入は自動会計で完結します。
眼鏡型の端末は、説明を聞くよりも、掛けてみたときの見え方で理解が進む商品です。店員がいないことで、来店者は気兼ねなく試す時間を取れます。試した感想を誰かに話したくなる体験を、店の形そのもので後押ししている例だと考えられます。
ソウル 漢南洞の 旗艦店は、 店の 外にどう 体験を 広げたのか?
ファッションと美容を扱うオンラインのセレクトショップW Conceptは、創業以来初めての単独の旗艦店をソウル漢南洞に開きました。報道によれば、地下1階から地上3階までの4フロアで、美容・香り、韓国のデザイナーのファッション、暮らしの道具を階ごとに見せています。月末までは周辺の18の店と組み、店で受け取った地図を手に近くの店を回って来店を確かめると、贈り物がもらえる企画も行いました。今後は店で配信の撮影も行うとしています。
この例では、オンラインで磨いてきた「選ぶ目」を店の構成で見せたうえで、体験を店の外の街歩きへ広げています。1つの店で完結させず、地域を回る行程にしたことで、来店者が語れる場面の数が増える設計になっています。
日本で 応用するとき、 何を 決めればよいのか?
- 店で確かめてもらうことを1つに絞る(着たときの形、使ったときの感覚、選ぶ基準など)
- その確かめに場所と時間の大半を割き、売り場の面積はその後に決める
- 購入の手続きを店の外のどこへ任せるか(アプリ、配送、後日の来店)を決める
- 来店者が語れる場面を店の中と外にいくつ置くか決める(試着室、体験の区画、周辺の店)
- 招待する人に、何を確かめてほしいかを事前に伝えておく
ポップアップの会場の設計はポップアップをSNSで広げるには、会場のどこを設計すべきかでも扱っています。体験の設計から当日の運営までを相談する場合の窓口は、SNSアクティベーションのサービスページにまとめています。
この 記事の 範囲
この記事は、各出典の報道に書かれている内容だけをもとに、3つの店の設計を読み解いたものです。来店者数や売上、実際の投稿の数は報道で確認できないため扱っていません。各ブランドの施策の優劣を比べるものではありません。
おわりに
オンラインのブランドが店を出すとき、試すことに場所を割くか、売ることに割くかで、来店者が持ち帰る言葉は変わります。確かめる体験を店の真ん中に置くことが、その店を語られる場所にする出発点です。