Insight2026.10.12

PR表記の文言はどれなら足りるのか —「#PR」「#提供」「#タイアップ」の違い

#業界動向

PR表記の文言は、「広告」「PR」「プロモーション」「A社から商品の提供を受けて投稿している」など、一般の消費者が広告だと分かる書き方であれば足ります。文字を小さくしたり色を薄くしたりする書き方、大量のハッシュタグの中に埋める書き方は、認められません(消費者庁のステルスマーケティングに関する景品表示法上の考え方 の運用基準、2026年10月確認)。

文言・書き方分かりやすさ理由
「広告」「PR」十分一般消費者に広告だと明確に伝わる
「プロモーション」十分同様に明確。媒体のタイアップ表示機能と併用するとより分かりやすい
「A社から商品の提供を受けて投稿しています」十分事業者との関係性を具体的に説明している
文字を他より小さくする・色を薄くする不十分視認性が低く、広告だと気づかれにくい
大量のハッシュタグの中に埋める不十分他のタグに埋もれて見落とされやすい

なぜ「一般消費者に伝わるか」が基準になるのか

ステマ規制の運用基準では、事業者が表示内容に関与しているかどうかに加え、広告であることが一般消費者にとって明確かどうかが判断の基準になります。「PR」や「広告」という単語そのものは認められていても、置き方や見せ方によって、実質的に分からなくなっていれば基準を満たしません。たとえば、投稿の末尾に「#PR」と書いていても、その前に関係のないハッシュタグを30個近く並べている場合、読み手が最後まで見る前に離れてしまい、広告だと気づかれない可能性があります。たとえば、動画の冒頭だけで一瞬表示して本編では一切触れない場合も、認識できないほど短い表示として問題になります。基準が「一般消費者に伝わるか」である以上、文言そのものの正しさよりも、実際にその投稿を見た人がどう感じるかを基準に考える必要があります。依頼する側が「表記は入れてもらった」と確認するだけでなく、完成した投稿を実際の見え方で確認する工程を省略しないことが重要です。

誰が何を確認するべきか

ブランドの担当者は、依頼する投稿のフォーマットに、どの文言をどこに置くかをあらかじめ指定しておく必要があります。代理店は、投稿前の確認の段階で、文言の視認性(文字の大きさ・色・ハッシュタグの位置)を実際の見え方でチェックする役割を担います。インフルエンサー本人は、媒体のタイアップ投稿ラベルなどの機能がある場合は、文言と機能を両方使うことで、より確実に広告だと伝わる投稿になります。投稿の形式やレイアウトは本人が普段使い慣れている場合が多いため、文言をどこに置けば自然に目に入るかについては、本人の意見も確認しておくと実際の見え方の精度が上がります。媒体ごとの具体的な表示位置や機能については、Instagram・YouTube・TikTokで、タイアップ投稿のPR表記はどう変えるべきか で扱っています。依頼の段階でこの3者の役割を分けて考えておくと、投稿後に表記が不十分だったと気づいて修正を依頼するという手間を減らせます。3者のうち誰か一人だけが文言の見え方に責任を持つのではなく、依頼する側・確認する側・投稿する側がそれぞれの立場で見え方を確認する体制にしておくことが実務上の備えになります。

依頼の段階で決めておくことは何か

  1. 使う文言を「広告」「PR」「提供を受けて投稿」などから具体的に指定する
  2. 文言を置く位置を、投稿の冒頭またはすぐ目に入る場所に指定する
  3. 文字の大きさ・色が他の文字と同程度であることを確認する
  4. ハッシュタグを多用する場合は、PR表記のタグを埋もれさせない位置に置く
  5. 媒体のタイアップ投稿ラベルなど、表示機能がある場合は併用する

よくある誤解は何か

「#PR」と一度書けば、どこに書いても問題ないと考えるのは誤解です。タイアップ投稿のPR表記とは?ステマ規制の基本と実務の型 で扱っている通り、表記が必要かどうかの判断と、表記の書き方が十分かどうかの判断は、どちらも一般消費者から見て分かるかどうかという同じ基準に基づいています。文言があるだけで安心せず、実際の見え方を確認することが必要です。もう一つの誤解は、表記の文言を毎回同じ位置・同じ言い回しにすれば自動的に安全だと考えることです。媒体の仕様や投稿の形式(フィード・ストーリーズ・動画など)によって見え方が変わるため、形式が変わるたびに、その形式での見え方を確認し直す必要があります。

この記事の範囲

この記事では、PR表記の文言としてどのような書き方が足りるかを扱っています。媒体ごとの具体的な表示位置や機能の使い方、個別の投稿が規制の対象に当たるかどうかの最終判断は、ここでは扱っていません。文言を日本語以外の言語で表記する場合の扱いについても、ここでは判断していません。

おわりに

PR表記の文言そのものは、「広告」「PR」といった一般的な言葉で足ります。問題になるのは、文言の有無ではなく、その文言が一般消費者に実際に伝わる見え方になっているかどうかだと考えています。依頼の段階で文言と置き方を具体的に決めておくことが、投稿後の修正依頼を減らす近道になります。