海外ブランドが日本でインフルエンサー施策をするとき、最初に押さえること
海外ブランドが日本でインフルエンサー施策を始めるときは、表示のルール・依頼から投稿までの進み方・媒体ごとの役割・ギフティングの位置づけという4点を最初に押さえる必要があります。
| 押さえる点 | 日本市場に固有の内容 |
|---|---|
| 表示のルール | 消費者庁のステマ規制。本国にない規制の場合は特に注意が必要 |
| 依頼から投稿までの進み方 | 候補の選定→本国承認→表現の確認→投稿という順で進む |
| 媒体ごとの役割 | Instagram・TikTok・YouTubeで、伝わりやすい情報の種類が異なる |
| ギフティングの位置づけ | 投稿義務のない施策も、日本では一定の表示ルールが及ぶ |
表示のルールは、なぜ最初に確認すべきなのか
日本には、インフルエンサーの投稿が広告であることを一般消費者に明確に伝えるステマ規制があります。本国に同種の規制がない、または運用が異なる場合、日本側の基準を知らずに投稿を進めてしまうことがあります。表示のルールは投稿が公開された後に直せる範囲が限られているため、依頼の段階で文言と置き方を具体的に指定しておく必要があります。日本のステマ規制については、タイアップ投稿のPR表記とは?ステマ規制の基本と実務の型 で扱っています。
たとえば、化粧品や美容系の商品を扱う海外ブランドの場合、効能に関する表現の確認も表示のルールと合わせて進行に組み込む必要があります。「必ず改善する」のような言い切りの表現は、本国では問題にならなくても、日本の規制の枠組みでは避けるべき表現にあたることがあります。
依頼から投稿までの進み方は、国内ブランドとどう違うのか
国内ブランドの案件では、候補の選定から投稿まで比較的短い期間で進むことが多い一方、海外ブランドの案件では、候補の選定後に本国側の承認を経る工程が加わります。本国の意向と日本のSNS文脈にずれがある場合、候補者の資料や起用理由を本国側に伝わる形で言語化する作業も必要になります。この工程を知らずに国内ブランドと同じ日程で進めようとすると、本国承認の段階で日程が崩れることがあります。
媒体ごとの役割はどう違うのか
Instagramはスウォッチや比較のように保存されやすい情報型の投稿に向き、TikTokは若年層への拡散に向き、YouTubeは使用感を深く伝える投稿に向くといった傾向があります。海外ブランドが本国で効果のあった媒体の使い方をそのまま日本に持ち込むと、日本のユーザーの使い方と合わず、狙った反応が得られないことがあります。日本の生活文脈に合わせて、媒体ごとの役割を日本側で再設計する工程が必要です。この再設計は、本国の担当者だけでは判断が難しい部分であり、日本側のスタッフが、日本のユーザーがどの媒体をどのように使っているかを具体的に示しながら進める必要があります。
ギフティングの位置づけは、日本ではどう扱われるのか
投稿を必須にしないギフティングは、海外では表示義務の対象外と見なされる場合がありますが、日本では投稿する側に事業者との関係がある以上、表示のルールが及ぶという考え方が基本になります。投稿義務がないことと、表示が不要であることは別の問題です。ギフティングを実施する際も、投稿する場合の表示の仕方をあらかじめ依頼文で共有しておく必要があります。
訪日前の認知と来店後の体験は、誰に起用を頼むべきか
日本での実績がまだない海外ブランドは、訪日前の認知を広げたい場面と、来店・体験の実演を見せたい場面で、起用する人物の条件を分けて考える必要があります。訪日前の認知を広げたい場合は、海外在住のインフルエンサーが向いています。一方、実際の来店や体験の様子を日本語で伝えたい場合は、在日外国人のインフルエンサーが向いています。両者を同じ基準で選んでしまうと、認知の広がり方と体験の伝わり方のどちらかが弱くなることがあります。
たとえば、化粧品や美容系の海外ブランドが日本に初めて進出する案件では、訪日前の認知づくりに海外在住のインフルエンサーを起用し、実店舗がオープンした後は在日外国人のインフルエンサーに来店の様子を発信してもらうという2段階の起用を組むことがあります。この切り分けをせず、最初から同じ人物に両方の役割を任せようとすると、フォロワー層が訪日前の認知層と来店後の体験層のどちらにも中途半端に届くことがあります。
この記事の範囲
この記事では、海外ブランドが日本でインフルエンサー施策を始める際に最初に押さえる4点を扱っています。韓国ブランドに特有の実務の詳細は韓国コスメのジャンルページ にまとめています。個別の媒体の最新機能や、ブランドごとの具体的な進行スケジュールについては、ここでは判断していません。
おわりに
海外ブランドが日本でインフルエンサー施策を始める際は、表示のルール・進み方・媒体ごとの役割・ギフティングの位置づけという4点を最初に押さえておくことが、本国との橋渡しをスムーズにする土台になると考えています。