Insight2026.10.23

未成年のインフルエンサーを起用するとき、同意と契約で何が変わるか

#起用設計#選定プロセス

未成年(18歳未満)のインフルエンサーに依頼するときは、契約について保護者(法定代理人)の同意を確認することが前提になり、同意がない契約は後から取り消されるおそれがあります。本人とのやりとりに加えて、保護者への説明、同意の記録、連絡と撮影の進め方まで、依頼の段階で設計し直す必要があります。

確認すること18歳以上の場合18歳未満の場合
契約の相手本人(または所属事務所)本人に加えて保護者の同意が必要。所属事務所が代理する場合は、その範囲を確認
同意の記録契約書への署名保護者の同意が分かる書面(署名または同意書)
連絡窓口本人または担当マネージャー保護者を含めた連絡経路を決める
撮影・イベントへの同行任意保護者の同行や送迎の条件を事前に確認
商材の相談通常の確認年齢に合わない商材は、依頼前に見直す

未成年への依頼では、何が法的に変わるのか?

法務省の案内(民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について、2026年10月確認)によると、成年年齢は2022年4月1日から20歳ではなく18歳になりました。つまり、契約を単独で結べるのは18歳以上です。

民法は、未成年者が契約などの法律行為をするには法定代理人(多くは親権者)の同意が必要だと定めています。同意を得ずにした契約は、取り消すことができます。インフルエンサーへの依頼に置き換えると、投稿の報酬や使用範囲を決めた契約でも、保護者の同意がなければ、後から取り消される可能性が残るということです。取り消されれば、すでに撮影や投稿が済んでいても、条件が崩れます。

私たちは、この点を「相手を疑う話」ではなく、「依頼する側が条件を安定させるための手順」として捉えています。保護者の同意を最初に取っておくことは、本人にとっても、約束が守られる安心につながります。

年齢や所属によって、確認先はどう変わるのか?

確認先は、本人の年齢と所属の有無で変わります。下の表を目安にしてください。

状況主な確認先確認すること
18歳未満で、事務所に所属している事務所のマネージャー保護者の同意を事務所が取っているか。取っていない場合は書面の取り方
18歳未満で、個人で活動している本人と保護者保護者が活動を把握し、依頼条件に同意しているか
18歳以上で、事務所に所属している事務所のマネージャー通常の契約手順
18歳以上で、個人で活動している本人通常の契約手順

たとえば、高校生のクリエイターに、新作のスニーカーの紹介をお願いする場合を考えます。事務所に所属していれば、まずマネージャーに保護者の同意の取り方を確認します。事務所がなく個人で活動している場合は、本人を通じて保護者に連絡し、依頼の内容と条件を保護者にも伝えます。どちらの場合も、同意の記録を残すことが共通の手順です。

依頼の段階で、何を決めておけばよいのか?

依頼の段階で次の順に決めておくと、後から条件が揺れにくくなります。

  1. 本人の年齢と所属を、最初のやりとりで確認する
  2. 保護者の連絡先と、連絡を取る人(本人経由か直接か)を決める
  3. 依頼内容、投稿の範囲、使用期間を、保護者にも分かる言葉で書面にする
  4. 保護者の同意が分かる形(署名や同意書)で記録を残す
  5. 撮影やイベントの日程と、同行や送迎の条件を決める
  6. 商材と表現が年齢に合っているかを、依頼前に社内で確認する

3番目の「保護者にも分かる言葉で」は特に大切です。契約書の専門用語だけで説明すると、保護者が内容を理解しないまま同意することになり、後でのすれ違いにつながります。

学校や撮影のスケジュールは、どう配慮すればよいのか?

未成年の場合、学業との両立が前提になります。平日の日中や試験の時期に撮影を入れると、本人にも保護者にも負担になります。もうひとつ、夜間の撮影やイベントの時間帯は、保護者が許容できる範囲を先に確認しておく必要があります。

たとえば、発売前の商品を紹介するために、夜に開かれるイベントへ招きたい場合を考えます。保護者が同行できるか、帰りの交通手段をどうするかを、招待の連絡と一緒に伝えます。開催の直前に条件を伝えると、本人が出たくても出られない事態になり、お互いに残念な結果になります。

よくある誤解は何か?

1つ目は、「本人が了承しているから大丈夫」という誤解です。本人の意思はもちろん大切ですが、契約の安定には保護者の同意の確認が別に必要です。

2つ目は、「所属事務所がいれば、保護者への確認は不要」という誤解です。事務所が保護者の同意を取っている場合もありますが、その確認を依頼する側が省いてよいとは限りません。事務所に、同意をどう取っているのかを聞くところまでが、依頼側の確認です。

3つ目は、「未成年は断られやすいから避ける」という誤解です。年齢だけで判断せず、商材との相性と、手順を踏めるかどうかで判断するほうが、本人にも依頼側にも納得がいきます。

この記事の範囲

この記事は、未成年者との契約についての一般的な考え方を整理したものです。個別の契約の有効性や、子どもの就労・出演に関する別の決まりについては判断していません。実際の案件では、法務の担当者や専門家に確認してください。

おわりに

未成年への依頼は、手順が増える分、準備が必要です。ただ、保護者の同意の確認と、年齢に合った商材と日程の設計を押さえれば、本人も保護者も安心できる形で進められます。契約の全体像は、インフルエンサー契約書に最低限入れておくべき項目とは何かも参考にしてください。投稿の表示については、タイアップ投稿のPR表記とはで整理しています。