UGCとは?タイアップ投稿との関係と活かし方【基礎解説】
UGCとは、企業からの依頼や対価なしに、消費者が自分の意思で投稿するコンテンツを指します。タイアップ投稿やギフティング投稿としばしば並べて語られますが、この三つは同じ軸の上に並ぶものではありません。UGCは「依頼していない投稿」であり、タイアップやギフティングは「依頼した投稿」です。
この記事では、依頼した投稿とUGCがどうつながっているのかを一枚の地図として整理したうえで、ブランド側が何を設計すればUGCが生まれやすくなるのかを見ていきます。
この記事でわかること:
- UGCと、タイアップ投稿・ギフティング投稿がそれぞれ何を指すか
- 依頼した投稿が、周囲のUGCにつながっていく構造
- ブランドがUGCを増やすために設計できること
UGCとは、依頼していない投稿を指します
UGC(User Generated Content、ユーザー生成コンテンツ)とは、企業からの依頼や対価を伴わず、消費者が自分の意思で発信した投稿のことです。商品を購入した方が感想を書く、贈られた品を紹介する、店舗での体験を写真に収める——こうした投稿はすべてUGCにあたります。
一方、タイアップ投稿やギフティング投稿は、ブランド側が起用した相手にお願いして生まれる投稿です。三者の違いを整理すると、次のようになります。
| 呼び方 | 依頼の有無 | 投稿の扱い |
|---|---|---|
| UGC | 依頼していない | 投稿するかどうかも、どう投稿するかも本人の意思による |
| ギフティング投稿 | 商品やサービスを提供してお願いする | 投稿は義務ではなく、本人の判断に委ねる |
| タイアップ投稿 | 対価を伴ってお願いする | 投稿内容や公開時期を契約として取り交わす |
タイアップ投稿・ギフティング投稿を含む手法の全体像は、インフルエンサーマーケティングとは?手法の種類と全体像で整理しています。この記事では、その全体像のさらに外側にあるUGCが、依頼した投稿とどう関係しているのかに焦点を当てます。
この区別が実務でなぜ重要かというと、「依頼した投稿」は施策として発注でき、進捗も結果も追えるのに対し、UGCは発注の対象にできないからです。UGCを増やしたいという要望はよくいただきますが、UGCそのものを直接お願いすることはできません。お願いした時点で、それはもう依頼した投稿になってしまいます。だからこそ、UGCについて考えるときは「増やす」ではなく「生まれやすくする」という言い方のほうが実態に近くなります。
依頼した投稿とUGCは、対立ではなく地続きの流れです

図版1: 「依頼した投稿」と「自発的な投稿(UGC)」の関係(起用→体験→周囲への波及)
依頼した投稿とUGCを、別々の施策として切り離して考えてしまうことがあります。ですが実際には、この二つは一本の流れの中にあります。
ブランドがインフルエンサーを起用し、その方に商品やブランドを体験していただく。その体験をもとに投稿が生まれる。ここまでが、タイアップやギフティングという「依頼した投稿」の範囲です。
この投稿は、投稿した本人だけのもので終わりません。投稿を見たフォロワーや、検索や表示で偶然目にした人が、同じ商品に触れて自分でも投稿する。あるいは、投稿された使い方や見せ方を参考にして、自分なりの投稿をする。この、周囲への波及として生まれる投稿がUGCです。
私たちの実績記録では、投稿義務のないギフティングでも高い割合(91%、N=342)で投稿が生まれています(詳しくは投稿義務のないギフティング、実際に何%が投稿されるのか)。ただしこの数字が示しているのは、依頼した本人が投稿するかどうかです。UGCが生まれるかどうかは、その先、投稿を見た周囲がどう反応するかという別の層の話であり、依頼した投稿の数だけでは測れません。
UGCは、狙って生めませんが、生まれやすい条件はあります

図版2: UGCが生まれる4条件
UGCは、個人の自発的な行動の結果です。ですから、ブランド側が「これをすればUGCが生まれる」と保証することはできません。ですが、生まれやすさを左右する条件は、設計の側から整えることができます。私たちが体験や商品まわりの設計で確認しているのは、次の4つです。
- 体験: その人の言葉で語れる一点があるか。商品の説明ではなく、体験として持ち帰れるものがあるか
- 素材: 写真や動画に収めやすい特徴があるか。語れることと、撮って見せられることは別の条件です
- 投稿のしやすさ: 何を、どう言及してほしいかが、探さなくても分かる状態になっているか
- 許諾: 見つけた投稿をブランド側が公式アカウントでの紹介などに使わせていただく場合の許諾のとり方が、あらかじめ決まっているか
体験の設計がどこで分岐するかについては、体験をつくる仕事と、語られる状態をつくる仕事——アクティベーション設計はどこで分岐するのかで扱っています。同じ論点は、依頼した投稿だけでなく、その先に生まれるUGCにもそのまま当てはまります。体験に語れる一点がなければ、依頼した投稿自体が薄くなり、それを見た周囲に波及する材料もありません。
4つの条件のうち、見落とされやすいのが許諾です。UGCは投稿者の意思で生まれるものなので、ブランド側がそれをどう扱うかは、投稿とは別に決めておく必要があります。見つけたUGCを見つけた都度お声がけして許諾を取る運用は、件数が増えるほど負担になりますし、お声がけのタイミングによっては投稿者を戸惑わせてしまうこともあります。あらかじめ、どのような投稿であればどう紹介させていただくのか、投稿者にとって分かりやすい形で示しておくことが、後工程の負担を減らします。
使いどころ: タイアップ・ギフティングとUGC、どちらを起点に設計するか
確実に投稿を得たい場面と、周囲への波及を狙う場面とでは、設計の起点が変わります。
投稿の内容や公開時期をコントロールしたい場面、決まった期間内に一定の露出が必要な場面では、タイアップ投稿が向いています。契約として投稿を取り交わせるため、確実性を優先できます。
一方、UGCは確実性を約束できない代わりに、依頼した投稿よりも広い層に、より自然な形で届く可能性を持っています。狙うべきは「UGCを直接発生させる施策」ではなく、「依頼した投稿の質を上げることで、UGCが生まれやすい土壌をつくる」という設計です。タイアップやギフティングにおける体験設計そのものが、UGCへの投資になっていると捉えるのが実務的です。
どちらか一方を選ぶという話ではなく、確実に届けたい部分はタイアップやギフティングで固め、その周囲に波及する余地を体験や素材の設計で残しておく。この両輪で考えると、判断がしやすくなります。
判断に迷ったときにもう一つ確認しておきたいのが、時間軸です。タイアップやギフティングは、依頼から投稿までの期間がある程度見通せます。一方でUGCは、体験や商品との接点からどれくらいの時間を置いて生まれるのか、あらかじめ見通しにくいという性質があります。短期間で成果を確認したい施策では、依頼した投稿を主軸に置き、UGCはその先に長く残る効果として捉えておくと、期待値のずれが起きにくくなります。
この記事の範囲
この記事では、UGCと依頼した投稿の関係、そしてブランド側が設計できる条件を整理しました。一方で、生まれたUGCをどう見つけて把握するか、投稿を二次利用する際の権利処理の実務、UGCを集めるための投稿企画の具体的な作り方といった、UGCが生まれたあとの運用については扱っていません。これらは別の論点として、改めて整理する必要があります。
おわりに
UGCは、依頼していないからこそ価値がある一方で、ブランド側が完全にはコントロールできないものです。だからこそ、依頼した投稿の質を上げること自体が、UGCへの一番確実な投資になります。二つを別のものとして見るのではなく、一本の流れとして設計することが、この記事で持ち帰っていただきたいことです。